中村ゆきと未来とっとりプロジェクト 代表

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2026/07/19

はじめの一歩

はじめの一歩

一年前、顧問先の課長が台北支店長に赴任した。任期は3〜5年。歴代の赴任者が現地と人間関係を築いた頃に帰国する悪循環のせいか、支店の業績は伸び悩んでいた。

私は「このままではもったいない」と、社長に一週間の現地出張を申し出た。学生時代から台北に数十回通い、最近まで翻訳権を海外に売買する東京版権説明会(TRM)の代表も務めていた私は、台湾の出版業界に深い繋がりがある。

新任支店長を連れ、一日4件の挨拶回りを敢行した。その際、日本の大学に留学経験があるという内勤の台湾人女性社員も同行させることにした。

政府機関や大手出版社、書店、電子書籍取次、オンラインショップなどを精力的に回ると、わずか2か月後に2つの新規事業が立ち上がり、商談がまとまった。

だが何より嬉しかったのは、帰国後に彼女から届いたメールだ。そこには「これまで日本語を活かし、日台の架け橋となる営業職を望んでいた」という熱い想いが綴られていた。私はすぐに支店長へ、彼女を営業職へ異動させてはどうかと提案した。

ビジネスは国内外を問わず、温かな人間関係から始まる。いかに現地の懐へ飛び込んでいけるか。それこそが、言葉の壁を越えて未来を拓く、赴任者のはじめの一歩なのだ。