中村ゆきと未来とっとりプロジェクト 代表

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2026/07/05

名前のない表札

名前のない表札

かつて映画などで「受刑者は番号で呼ばれる」というイメージがあったが、現在の日本の刑務所では、基本的に名字に「さん」を付けて呼ぶ運用に変わっている。

一方で、私たちが暮らす社会はどうだろうか。鳥取市に移住して2箇所の集合住宅に住んだが、驚いたことにどちらも表札がなく、部屋番号があるだけだった。

そういえば、10年ほど前から社員の名札や行動予定表のホワイトボード、さらにはPTAや社員の名簿も、個人情報保護の名のもとに廃止されてきた。

確かに情報の防犯や保護は重要だが、行き過ぎると社会が無機質な記号で埋め尽くされてしまう。

例えば病院の待合室だ。番号で呼ばれても気づかない患者に対し、看護師が配慮しつつ「〇〇さん」とフルネームで呼び直した瞬間、その場に温かみが戻りホッとする。

名前のない家々へ正確に荷物を届ける郵便、新聞、宅配の配達員の方々には頭が下がる。

しかし、名前を隠し合う社会はどこか寂しい。地域の町内会やコミュニティの崩壊は、実はあの「名前のない表札」から始まっているのではないか。