2026/09/14
手習い指導者
小学生の頃、三つの習い事に通った。田舎に塾はない。公民館と小学校の体育館が教室だった。
手習いの先生は、町の顔役だった。書道は駅長、そろばんは郵便局長、剣道は駐在さん。墨の香り、パチパチとはじけるそろばんの音、竹刀の風を切る音を、今も覚えている。
学校だけでなく、町全体が私を育ててくれた。どこへ行っても先生の目があった。だから道を踏み外すことなく大人になれた。
鳥取県には「とっとりいきいきシニアバンク『生涯現役』」という仕組みがある。六十歳からの人生の先輩が、経験や技を地域に返す。公民館で、子どもたちの隣で、先生になる。
私もいつか、「自分史」の手習いの先生になりたい。
