中村ゆきとが毎日1本のペースで綴る、
鳥取市政・地域テーマの短編コラム。
2026/09/01
「暗黙知」とは、経験や勘に基づき言葉にしにくい知識のことだ。昔の職人は「背中を見て学べ」と技術を一切教えなかった。意地悪ではない。「削り心地」「火の色」「力加減」は言葉で伝えられない。答えをすぐ与える…
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2026/09/02
9月1日は、防災の日だった。私は映画『福田村事件』を鳥取市内のシネマドアで観た。1923年9月1日に発生した関東大震災直後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という流言(デマ)を真に受けた自警団が、罪のない…
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2026/09/03
編集者をしながらラジオの台本を書き始めた頃、ラジオ局のディレクターに何度もダメ出しされた。「耳で聞いても分からない」と。原因は書き原稿と読み原稿の違いだった。書き原稿は「目で追って理解する文章」、読み…
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2026/09/04
アシックス創業者・鬼塚喜八郎氏の評伝『敗れてもまた走れ』が上梓された。著者は知人の経済ジャーナリスト・財部誠一さん。7月にゲラを一足先に読み、鳥取市出身の稀代の経営者の不屈の人生に震えた。この感動を鳥…
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2026/09/05
景気が悪化するたび、政府は「内需拡大」を掲げる。日本で作ったものを日本で買おうという掛け声だ。これを県に置き換えたのが「県内内需」である。鳥取県は全体で約2兆円を稼ぐが、電気代に800億円、ガソリン代…
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2026/09/06
21年前、書籍『人は見た目が9割』がベストセラーとなり話題となったが、マスコミで働いた経験では、見た目はせいぜい3割だ。「人は見かけによらぬもの」を支持したい。私は現役のころ、初対面のときは必ず下調べ…
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2026/09/07
かつてのコミュニティは、町内会や商店街など同じ「場所」を共有する集まりが中心だった。今は違う。趣味でつながる関心コミュニティ、価値観でつながる心のコミュニティへ多様化している。今春、袋川沿いに生まれた…
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2026/09/08
大学出版会は大学直属の出版社だが、出版不況と大学予算の削減により、その数は減り続けている。 今、日本の大学教科書は危機に瀕している。市販の専門書は1冊4,000円。年間30単位を履修すれば、教科書代だ…
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2026/09/09
鳥取市内を車で走り、率直に思った。「道が悪い」。原因は経年劣化、重車両の往来、風雨の浸食だ。象徴が南栄町だ。工場と物流倉庫が集積し、鳥取ICを控える南栄町交差点は、2トントラックの大動脈である。発進と…
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2026/09/10
週末、鹿野町の古民家「夢こみち」で「すげ笠御膳」をいただいた。地の野菜と、ゆっくり流れる時間。なぜ人口約4000人の町に20代が移住するのか、その理由がわかった気がした。鹿野には物語がある。今、多くの…
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2026/09/11
首都圏から鳥取市へ移住して驚くのは、地上波の少なさだ。映るのはわずか5局。うち民放3局は、東京のキー局の番組をそのまま流すだけの存在に近い。若者のテレビ離れと広告費のネットシフト。制作費が削られた地上…
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2026/09/12
埼玉在住の妻は、1週間分の新聞を隅々まで読み、私が関心を持ちそうな記事を教えてくれる。9月6日の『朝日新聞』に「鳥取県民、図書館といい関係」の見出しがあった。記事によれば、鳥取県は人口あたりの蔵書数が…
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2026/09/13
私の大学時代、京都の男子の胃袋は「餃子の王将」に支えられていた。財布には常に無料券が入っていた。店内に「ソーハンイーガ、コーテルリャン」と、中国語風の符牒が怒声のように飛び交い、それが活気だった。 先…
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2026/09/14
小学生の頃、三つの習い事に通った。田舎に塾はない。公民館と小学校の体育館が教室だった。 手習いの先生は、町の顔役だった。書道は駅長、そろばんは郵便局長、剣道は駐在さん。墨の香り、パチパチとはじけるそろ…
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2026/09/15
私が住んでいる地域の最近の挨拶は、「草刈りして疲れた」から始まる。それくらい雑草がよく成長し、刈っても刈ってもまた生えてくる。 気候変動のためか、高温多湿の最近の鳥取市は植物がよく育つ。それに加えて自…
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2026/09/16
人は季節の変わり目に旅立つ。9月から10月、3月から4月。多くの方を見送った私の実感だが、初秋と春先の死亡が多い気がする。 理由は寒暖差だ。鳥取は朝晩と日中で10℃以上の差が当たり前で、自律神経が乱れ…
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2026/09/17
道の駅「西いなば気楽里」にぽつんと立つEV急速充電器。今は利用者を滅多に見ないが、近い将来、ここに長い列ができるかもしれない。 ガソリン180円台が続けば、一、二年で電気への乗り換えが加速するからだ。…
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2026/09/18
政策金利1%、長期金利は3%台。「金利ある世界」への回帰は預金者に恩恵をもたらす一方、住宅ローンを抱える現役世代には重い負担となり、経済的な格差を急速に広げる原因になる。 特に影響が深刻なのは鳥取県だ…
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2026/09/19
池が干上がるとき、水は端から減り、魚は中心へ集まる。地方のコンパクトシティ化もこれと同じ構図だ。 中山間地から市街地へ、そして最後は施設へ。人が中心部へ吸い寄せられる裏側で、地域の集落は静かにその役目…
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2026/09/20
丸由百貨店の地下1階に不二家、イオンモール鳥取北とそよら鳥取駅南にリンガーハットがある。不二家前会長の山田憲典氏、リンガーハット名誉会長の米濵和英氏が鳥取市出身で、二人の郷土愛を感じる。 県民性なのか…
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2026/09/21
『名探偵コナン』の作者・青山剛昌先生は、幼い頃、チラシの裏や教科書の余白にまで落書きやパラパラ漫画を描いていたという。 「遊び場がない、公園を増やすべきだ」という声を耳にする。確かに安全な公園は必要だ…
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2026/09/22
鳥取市に来てから捨て犬や野犬に会ったことがない。周辺の中山間地でも首輪なしで歩く犬は見かけない。代わりに住宅地へ頻繁に出没するのは、シカとイノシシだ。 昔、里山には野犬の群れがいた。彼らがシカやイノシ…
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2026/09/23
出版社時代、面接の段階から異彩を放つ女子学生がいた。神奈川の郊外で酒屋を営む家の娘だった。 店は「角打ち」もしていた。今で言うイートインだ。仕事帰りの常連たちが集うその社交場で、彼女は中学の…
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2026/09/24
シルバーウィークの早朝、道の駅「西いなば・気楽里」の駐車場には、京阪神など県外ナンバーの軽バンやハイエースが目立っていた。 24時間使えるトイレや足湯があり、車中泊には絶好の環境だ。バックド…
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2026/09/25
ビジネス誌の創刊で巻頭インタビューを任された。編集長は言った。「大物作家のような、華のある人を」。だが、彼らは文芸誌の依頼すら断る猛者たちだ。実績のないビジネス書の版元など、門前払いに決まっている。…
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2026/09/26
中学時代、陸上部だった私の足元には、いつも薄底で軽いオニツカタイガーがあった。青に白のラインが映える定番の「LIMBER」。地元の老舗スポーツ店「ヲサカ大正堂」で手に入れたその一足は、多くの競技会で…
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2026/09/27
日常を映画にすることは難しい。激しく心揺さぶるストーリーも、アクションもない。ただ淡々と時間が過ぎ、季節が移ろう。その間に人と人との距離だけが、少しずつ変わっていく。 昨日、鳥取市内にあるシ…
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2026/09/28
市内のイタリア料理店「Monte」で、同窓会の幹事会の後、十数人で食事をした。鳥取の食材にこだわる店だ。 料理にシイラのフリットが出た。イタリア式の揚げ物である。これまで刺身と煮付けしか知ら…
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2026/09/29
講談社から毎月届く新刊案内は、ニュースリリースでもあり、制作関係者にとっては貴重な情報源だ。私も何度かラジオ番組に作家のゲスト出演を依頼したことがある。その際、出演料や交通費まで出版社が負担してくれ…
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2026/09/30
東京のペットショップに並ぶ小鳥は、ほぼ静岡県生まれだ。浜松・掛川・富士に大規模ブリーダーが集積しているからだ。 この集積を、鳥取の小学校の廃校に作れないか。 従来のコワーキング誘致は…
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