2026/05/05
雨が降れば傘をさす
松下幸之助さんの言葉があります。当たり前のことを当たり前にやる。雨が降っていたら傘は自然にさすものだが、なぜか経営の場となると、土砂降りの中を傘なしで走ったり、晴れているのに傘をさしたりするという経営の教えです。
入社1年目の出版営業を担当していた頃は、毎月の新刊は3点の小さな出版社でした。たまに自社の本が新刊平台にあるのを見つけると、嬉しくてしばらく見入ってしまいました。
そしてあることに気づきました。人は関心がある本を手に取って、パラパラとめくり購入するときは、平積みされた一番上にある本は買わないということです。その下から抜いてレジに向かいます。
そのため一番上の本の帯には指紋が付いたり切れたりします。私は翌日から3点の新刊の帯を営業鞄に入れ、取り替えて回りました。
店長さんに「何してるの?」と聞かれました。待ってましたと言わんばかりに「松下幸之助さんは、商品は我が娘といわれました。本の帯は腰巻ともいいます。腰巻が汚れていては娘が可愛いそうです」と答えました。帯が汚れたことだけで最後の一冊が、全国の書店で売れ残ることは、書店、取次、出版社にとって大きな損失です。
