中村ゆきと未来とっとりプロジェクト 代表

応援する メニュー

2026/06/05

いちばんのご馳走

いちばんのご馳走

東京・新宿に「文壇バー」と呼ばれる飲み屋があります。出版業界の衰退とともにその数はかなり減ってしまいましたが、かつては作家や編集者、デザイナー、ライターなど、業界関係者が夜な夜な集う交流の場でした。

店内は極めてシンプルで、カウンターの中にママと女子大生のアルバイトがいるだけ。高い酒も、美味い肴もありません。そこでのいちばんのご馳走は、その店に集まる客たちでした。

私も「風花」や「猫目」にはよく足を運び、朝まで飲んだものです。著名な作家さんとカウンターで肩を並べて酔う時間は、何よりのご馳走でした。

鳥取市内にも、メニューは珈琲だけで長年続いている喫茶店があります。カウンターの中のママが、三々五々集まる客同士を会話で上手にマッチングしてくれます。

今は週に一度ほど珈琲を頂いていますが、ママには悪いけれど、ママが繋いでくれた他のお客さんこそが、この店の一番のご馳走であり、楽しみなのです。

ビジネスの世界でも、「拠点」とは物理的な中心地であると同時に、そこに求心力のある人がいるかどうかが重要です。ここにもしママがいなければ、ただの貸し部屋やシェアオフィスになってしまうでしょう。