2026/06/14
富の好循環
19年前、日本初の電子図書館「千代田Web図書館」のプロジェクトに参加していた時、私は一冊の本と出会った。
恥ずかしながら当時、出版社に勤務していながら、私にとって図書館は単に「本を貸し出す場所」でしかなかった。しかし、菅谷明子著『未来をつくる図書館』(岩波新書)を読んで、その認識は一変した。
一言で言えば、図書館は単なる本の貸出係ではない。市民の課題を解決し、個人の可能性をひらく「地域最強の情報インフラ」なのだ。同書では、ニューヨーク公共図書館を舞台にその実態が熱く語られている。
特に印象的だったのが「レファレンス」という言葉だ。利用者の「調べものや探しもの」を、司書が専門知識と豊富な情報源を駆使して支援するサービスである。
そこでは起業支援やビジネス情報、医療情報など、市民の生活や仕事に直結する課題解決が徹底されていた。図書館のデータと人脈を活用して起業し、成功後に巨額の寄付を行ったベンチャー起業家の美談も紹介されている。まさにこれこそが「富の好循環」である。
ひるがえって鳥取県立図書館は、国内で唯一「Library of the Year」を2度受賞した実績を持つ。県民の課題解決支援に特化した、先進的なレファレンスが最大の特徴だ。日々の調査研究に寄り添い、地域活性化やビジネス課題の解決を力強く支えている。
これを活用しない理由がない。もっと多くの人が図書館を活用し、そのおかげで成功や幸せを掴んで欲しい。
