中村ゆきと未来とっとりプロジェクト 代表

応援する メニュー

2026/08/27

頂上での再会

頂上での再会

歳を重ね第一線を退くと、同窓会の誘いに心が迷う。学生時代に特別親しい友人もおらず、今さら会いたい相手もいない。「みんな立派になっているだろう」と思うと、どこか気後れしてしまう。

かつて編集者時代に「友情」について真剣に議論したことがある。『仕事の思想』を担当した際、著者の多摩大学大学院名誉教授・田坂広志氏と語り合った内容が、この本の一章に加わった。

田坂氏が説く「真の友情」とは、慰め合いでも、頻繁な連絡でもない。それぞれが厳しい現実の中で、自らの使命と命懸けで格闘する存在だ。

普段は別々の道を歩み、孤軍奮闘している。しかし、いつか成長を遂げ、人生や仕事の頂上に立った時に必ず再会できると信じ合える関係。それこそが本物の絆である。

新聞やテレビで同級生の名前を目にした時、「あいつも今、別の場所で限界と戦っている」、そう思える友が一人いるだけで、心に錨が下り、現実に流されないで再び立ち上がる力が湧く。

孤独に仕事と向き合う時ほど、目に見えない深い繋がりに支えられていると気づく。

半世紀ぶりの再会であっても、真の友情は会わなかった時間の中で静かに育まれている。