中村ゆきと未来とっとりプロジェクト 代表

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2026/09/05

穴の空いたバケツ

穴の空いたバケツ

景気が悪化するたび、政府は「内需拡大」を掲げる。日本で作ったものを日本で買おうという掛け声だ。これを県に置き換えたのが「県内内需」である。

鳥取県は全体で約2兆円を稼ぐが、電気代に800億円、ガソリン代に500億円が県外へ流出する。いくら稼いでも、これでは穴の空いたバケツだ。

その穴を塞ぐ特効薬と期待されたのが、年1,000億円にのぼる観光消費である。しかし、ここにも構造的欠陥がある。旅行支出の4割は交通費としてJRや航空会社などの県外大手に消え、地域にほとんど残らない。

その象徴が、砂丘エリアで3度目の着工延期が判明したマリオット系ブランドを冠した鳥取砂丘のリゾートホテル計画だ。民間主導とはいえ、外資系ブランドを冠した大型開発は、世界的な資材高騰という外因に翻弄され、事業費の見通しすら立たない。

さらに、鳥取市の行政が主導する「駅周辺再整備」にいたっては、基本計画の策定が令和6年、着工が令和30年、完成が令和35年ごろだという。30年先という途方もない未来図に、一体誰が責任を持てるのだろうか。

観光地の整備や山陰海岸ジオパークの認定も大切だ。だが今本当に必要なのは、外部の資本や遠い未来の箱物に依存することではない。地域のエネルギー自給や地産地消の仕組みをつくり、1000円を県内で3回回すような、地に足のついた地域経済循環の設計図である。