2026/09/08
出版会がつくる大学の未来
大学出版会は大学直属の出版社だが、出版不況と大学予算の削減により、その数は減り続けている。 今、日本の大学教科書は危機に瀕している。市販の専門書は1冊4,000円。年間30単位を履修すれば、教科書代だけで12万円に達し、学生の経済的負担は重い。
この課題に挑戦したのが昭和女子大学出版会だ。学内に出版部はない。窓口を広報部が担う同会では、教員が出版を申し出ると、外部の出版のプロ、編集者、デザイナー、印刷会社が一体となって発刊計画を練り上げる。装丁は学問分野別に色分けされた5色のパステルカラーに統一し、紙面の組版は共通テンプレートを使用。さらに、1冊からでも印刷できるオンデマンド印刷を採用することで、在庫と倉庫の保有コストをゼロにした。
その結果、著者の負担金は100万円以内に収まり、定価2,000円、印税30%という驚異的な条件を実現した。これにより、これまで資金面で二の足を踏んでいた若手教員が、自著を使って教えるハードルが一気に下がった。
この出版モデルは、地方大学の救世主にもなり得る。例えば、大学出版会を持たない鳥取大学や公立鳥取環境大学にあればどうだろう。
自著の教科書を用いた熱意ある講義は、学生の主体的な学びをより深く、確かなものにする。この取り組みを広げることは、大学が培ってきた「知の財産」を地域社会へと還元し、地方の教育水準を底上げする強力な一歩となるはずだ。
