2026/10/04
しっぽの先の戦略都市
鳥取県最西端、弓ヶ浜半島の先端に位置する境港市。県のカタチを犬に例えればしっぽの先、人口約3万人、面積も中国地方の市で最も狭く、県内最小の市だ。日本有数の水揚げを誇る港と、ゲゲゲの鬼太郎のまちとして知られる。
その地方都市に今年、オニツカタイガーの国内唯一の専用生産拠点「オニツカイノベーティブファクトリー」が誕生した。創業者・鬼塚喜八郎氏の出身地が鳥取県ゆえ、1969年に地域貢献として工場を設立したのが起源という物語は美しい。
だが企業は物語だけで投資しない。境港は今、日本海屈指のクルーズ拠点で、2026年は過去最多に並ぶ60隻前後の寄港を予定している。港に降り立つ欧米の富裕層。さらに車で15分の米子鬼太郎空港は韓国・台湾・香港を結び、1時間圏には大山、松江、出雲大社が広がる。
この工場はMade in Japanの技術継承拠点であると同時に、世界にブランドの真正性を発信するショーケースになり得る。郷土愛という物語と、地の利という合理性。二つを重ねた時、しっぽの先の小都市が山陰の玄関となり、鳥取を牽引する未来が見える。
