2026/10/09
表札のない新築
外見はどう見ても築10年以内。だが全ての窓はカーテンで閉ざされ、玄関に立つと表札が外された跡。郵便受けはガムテープで塞がれている。そこで初めて、そこが空き家だと気づく。鳥取市郊外には、こうした朽ちていない空き家が点在する。
市がこうした課題の筆頭に挙げるのは「若者世代の転出超過」だ。親が郊外に建てた家で二世帯で暮らすはずが、子は進学・就職で県外へ出たまま戻らない。残された親が施設や中心部へ移り、築浅のまま空く。
安さを売りに2010年代に急増した分譲地では、転勤、離婚、ローン破綻も重なる。貸そうにも借り手がつかない。建てた時は正解だった「安い郊外の新築」が、5年後のライフイベントで行き場を失う。
市は「空家等対策計画 第2期」で、こうした物件を移住者向け空き家情報バンクへ回す支援を強める。だが家だけでは人は留まらない。築浅の空き家が映すのは、「住まいはあるのに働く場がない」という矛盾だ。
